自己破産を大宮で弁護士に依頼する場合の注意点
大宮は埼玉県にある地名で、JR大宮駅を中心とした地域をいいます。
かつては「大宮市」が存在していましたが、2001年に浦和市、与野市と合併してさいたま市となり、かつての大宮市にあたる部分はさいたま市大宮区、西区、北区、見沼区に分割されました。
この記事では、大宮区にお住まいの方で、借金でお困りの方に向けて、自己破産の手続について解説いたします。
このコラムの目次
1.大宮と自己破産手続き
(1) 自己破産とは
自己破産とは、消費者金融などからの借り入れを返済することが難しくなった方が、裁判所に申立てを行うことにより借金を帳消しにしてもらうための手続をいいます。
借金の返済が難しくなったときの債務整理の手段には、自己破産のほかに個人再生、任意整理などがありますが、借金をゼロにしてもらうことができる手続は自己破産だけです。
自己破産は「破産法」という法律に基づいて行われる手続です。
自己破産に対してネガティブなイメージを持っている方は少なくありませんが、自己破産は借金で苦しむ方を救済するために法律上認められた手続で、多くの方に活用されています。
特に、平成17年に破産法が改正されてからそれまで以上に活用しやすくなり、借金の返済に苦しむ多くの方が自己破産によって借金から解放されてきました。
(2) 大宮の自己破産の状況
大宮周辺を管轄するさいたま地方裁判所での破産事件の件数の推移は次のとおりです(カッコ内は破産事件のうち管財事件の件数)。
- 平成17年 6,901件(714件)
- 平成18年 5,527件(965件)
- 平成19年 4,664件(1173件)
- 平成20年 4,132件(1225件)
- 平成21年 4,087件(1235件)
- 平成22年 4,672件(1291件)
- 平成23年 4,500件(1384件)
- 平成24年 4,045件(1247件)
- 平成25年 3,312件(994件)
- 平成26年 2,935件(870件)
- 平成27年 3,154件(870件)
参考:埼玉県統計年鑑
このように、さいたま地方裁判所の破産事件の件数は減少傾向にありますが、それでも年間で3,000件以上の申立てが行われています。
「管財事件」とは、一定の財産を有する方や免責不許可事由に該当する事実がある方などが破産するときに、裁判所から選任された破産管財人が財産の調査・管理・処分を行って債権者に配当したり、免責についての調査をしたりする手続です。
これに対して、目立った財産がなく、免責不許可事由に該当する事実もない方の場合は破産管財人が選任されず、破産手続の開始と同時に破産手続が廃止により終了する「同時廃止事件」という簡易な手続が採用されます
上の統計のとおり、管財事件よりも同時廃止事件の方が多く活用されています。
2.自己破産をするときの注意点
自己破産はメリットが大きい手続ですが、同時にデメリットもあります。
自己破産するかどうか検討する際には、メリットだけでなくデメリットも理解しておくべきです。
まず、自己破産をすると不動産(土地や建物)や車などの財産は原則として没収され、換価と配当の対象となります。
たとえば、自分が所有しているマンションに住んでいる方が自己破産をすると、賃貸物件などに転居をしなければなりません。
とはいえ、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品や、99万円以下の現金、仕事に必要な物品などは手元に残すことができます。
さいたま地方裁判所の場合、原則として合計99万円以内であれば、現金に限らず預金や保険等の維持も認められています。
そもそも換価と配当の対象になるような財産を持っていない場合には通常は同時廃止事件となり、換価や配当の手続が行われないことはすでに説明したとおりです。
3.自己破産の流れ
次に、自己破産が認められるまでの流れについて、同時廃止事件の場合を例にとって説明します。
(1) 申立ての準備
裁判所に破産の申立てをするためには、申立書を作成するとともに、さまざまな必要書類を準備する必要があります。
必要書類とは、債権者の一覧表、陳述書、住民票や戸籍謄本、収入がわかる書類のコピー、預金通帳のコピー、源泉徴収票や課税(非課税)証明書、資産関係がわかる資料などです。
必要書類を集めて申立ての準備をするには最短でも1か月程度はかかりますので、なるべく早めに準備に取り掛かることをお勧めいたします。
(2) 申立て
申立書や必要書類が揃ったら、裁判所に対して申立てを行います。
申立てを行った人のことを「申立人」と呼びます。
申立は「債務者の住所地を管轄する地方裁判所」に対して行うことが法律で定められています。
大宮を含むさいたま市の破産事件を管轄するのはさいたま地方裁判所の本庁です。
申立ての際に手続を進めるために必要となる費用を裁判所に納める必要があります。
(3) 破産手続開始決定
提出した書類に問題がなければ、「破産手続開始決定・同時廃止決定」が裁判所から出され、免責審尋の期日が決定します。
この時点から申立人は「破産者」と呼ばれます。
(4) 免責審尋
裁判所に呼び出されて「免責審尋」が行われます。
免責審尋とは、借金をすることになった経緯や返済ができなくなった事情について裁判官が質問を行い、免責(借金の帳消し)をして問題ないかどうか確認する手続をいいます。
(5) 免責許可決定
免責審尋の約1週間から2週間で裁判所から免責許可決定が送付されます。
申立ての内容に虚偽があった場合や書類に不備があった場合など一部のケースを除いてほとんどの場合は免責許可が出されます。
(6) 免責許可決定確定
免責許可決定が出されてから1か月が経過すると、免責許可決定が確定します。
これによって破産手続は終了し、晴れて借金から解放されることになります。
4.大宮で自己破産の申立てを行うための費用
自己破産の申立てを行うためには、裁判所に納める手数料、債権者に書類を送付するための切手代、官報に掲載するための広告費などの費用がかかります。
この費用は裁判所によって異なります。
ここでは、さいたま地方裁判所での費用について解説します。
(1) 手数料
収入印紙で手数料を支払う必要があります。
さいたま地方裁判所における手数料は同時廃止事件、管財事件のいずれの場合も1,500円です。
(2) 予納郵券
同時廃止事件の場合は2円切手を債権者数+2枚、管財事件の場合は100円切手を5枚、82円切手を20枚、10円切手を20枚、2円切手を20枚、1円切手を10枚(計2,390円)分の切手を納める必要があります。
(4) 官報公告費用
官報に掲載するための費用として、同時廃止事件の場合は11,644円、管財事件の場合は15,217円がかかります。
(5) その他
以上のほか、債権者や申立人に通知を行うための封筒を準備し、切手を納める必要があります。
5.自己破産の手続を弁護士に依頼するメリット
自己破産の手続は弁護士に依頼することでスムーズに、そしてできるだけ確実に破産を認めてもらうことができます。
最後に、自己破産を弁護士に依頼する具体的なメリットをご説明します。
(1) 債権者からの督促が止まる
弁護士に依頼すると、債権者(消費者金融等)に対して「受任通知」が送付されます。
受任通知を送るとそれ以降は弁護士が窓口となり、債務者本人への督促はストップします。
消費者金融からの催促の電話に心をすり減らしてしまっているような方にとっては、弁護士がいることが大きな心の支えになります。
(2) 書類の収集や作成を代理で行ってもらえる
自己破産をするための申立書の記載事項や必要な書類は法律で細かく定められており、不備があると自己破産が認められない場合があります。
弁護士に依頼することにより、書類の作成や収集を代理で行ってもらったり、書類作成や収集の方法についてアドバイスを受けたりすることができます。
(3) 手続上のアドバイスを受けることができる
自己破産は必ず認められるわけではなく、免責が許可されなかったり、同時廃止事件のつもりが管財事件になってしまうといったことがありえます。
弁護士に依頼することにより、できるだけ確実に自己破産を認めてもらえるようにアドバイスを受けることができます。
6.自己破産をしたいと思ったら弁護士に相談を
自己破産は、借金で苦しむ方にとってメリットの大きい手続です。
自己破産にとってマイナスのイメージを持っている方も少なくないと思いますが、自己破産は法律で認められた適法な手続で、実際に多くの方が自己破産を利用して新たな人生を歩んでいます。
自己破産の手続がスムーズに進むようにサポートをしてくれるのが法律の専門家である弁護士です。自己破産をしたいと思ったら、まずは一度弁護士に相談してみましょう
さいたま市、埼玉北部地域、埼京線・高崎線・宇都宮線・京浜東北線沿線にお住まい、お勤めの方は、泉総合法律事務所大宮支店がアクセス便利です。
なお、大宮周辺にお住まいの方が自己破産の申し立てをする際には、さいたま地方裁判所に申立書を提出する必要があります。
さいたま市のうち中央区、桜区、浦和区、南区、緑区、蕨市、戸田市、朝霞市、志木市、和光市、新座市を管轄するのがさいたま地方裁判所です。
さいたま地方裁判所
〒330-0063 埼玉県さいたま市浦和区高砂3-16-45
第3民事部破産係:048-863-8634
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