債務整理

2回目の自己破産は可能?破産に回数制限はあるのか

「以前にも自己破産したのに、再度借金ができてしまった」「2回目の破産は認めてもらえるの?」「再度破産したいと言ったら裁判所や弁護士から責められるのでは…」

一度自己破産をしたもののまた借金ができてしまい、「2回目の自己破産」が頭をよぎった時、「自己破産を2回も行うなど無理なのではないか?」と心配になる方は多いです。

実は、自己破産は2回目でも可能ですし、もっといえば3回目、4回目などでもできます。自己破産に回数の制限はありません。

ただし、2回目以降の自己破産では1回目とは異なる注意が必要です。

1.自己破産に回数制限は無い

現実として、「自己破産は一生に1回しかできない」と思われているケースが多いようで、そう思い込んだ方がよくご相談にいらっしゃいます。

しかし、これは誤解です。自己破産に回数制限はありません
要件さえ満たしていれば、2回目、3回目の破産免責も受けられます。

また、弁護士に2回目以降の自己破産を相談したからといって、責められることはありません。

人にはさまざまな事情があるものです。破産して「二度と借金はしない」と誓っても、病気、怪我、リストラ、事業の失敗、親族の介護や入院、交通事故、離婚など、さまざまな出来事によって借金ができてしまうケースがあるものです。

このようなやむおえない事情で借金ができたなら、2回目以降であっても、自己破産を適用して解決をはかるべきです。

2.2回目の自己破産の注意点

2回目の自己破産が認められるには、以下のような条件やポイントを満たす必要があります。

(1) 1度目の免責確定から7年経過している必要がある

自己破産は「原則としてすべての負債を免除する」強力な効果のある手続きです。
続けざまに何度でも繰り返して良いとなると、債権者の受ける不利益が大きくなりすぎる上、濫用の危険も高まります。

そこで、「一回自己破産した人は、7年が経過しないと次の自己破産はできない」という制限があります。
正確にいうと「免責許可の決定が確定してから7年が経過してからの破産申立でないと免責不許可」となります(破産法252条1項10号)。

これは後述の「免責不許可事由」の一種ですが、2回目の破産特有の制限です。

もっとも、この場合も後述の「裁量免責」の余地はありますが、再度の借金の理由等も含め裁判所が見る目が厳しくなるのは必至です。

したがって、以前の免責許可決定の確定日から7年以内に破産の申立をしても、免責されず、すべての負債がそのまま残ってしまう可能性は高いと言えるでしょう。

一回破産をして免責してもらったら、7年の間を置いてから破産申立をする等の方策を検討する必要があります。

(2) 免責不許可事由がある場合の判断が厳しい

2回目以降の自己破産をするときには「借金の理由」にも注意が必要です。

自己破産には「免責不許可事由」があります。代表的なものは浪費やギャンブルです。
他にも、信用取引や財産隠し、債権者隠しなども免責不許可事由になります。

ただし、上記のような免責不許可事由があっても、多くのケースでは裁判官の裁量によって免責をされます。これを「裁量免責」といいます。

しかし、この裁量免責は何度も認められるとは限りません。

例えば、1回目に浪費やギャンブルによって自己破産をしたなら、そのときに「二度と同じ過ちは繰り返しません」と反省の弁を述べているはずです。
それにもかかわらず2回目にまた同じ原因で借金をしたら当然厳しい目でみられます。

「この人は反省していないのではないか?」「今回免責を認めると、また同じことを繰り返すのではないか?」と思われるので、1回目と2回目に同じ免責不許可事由があると、裁量免責が認められにくくなります。

どうしても裁量免責を受けられそうにない方の場合、個人再生などの他の債務整理手続きを検討すべきケースもあります。

状況によってとるべき対処方法が異なりますので、心配な方は弁護士までご相談ください。

(3) 破産の理由についても厳しくチェックされる

仮に生活費のための借入や、事業の失敗により過大な負債ができてしまったと主張したとしても、2回目の自己破産では裁判所も免責判断に慎重になります。

たとえば、クレジットカードのショッピング利用が多ければ、免責審尋の際に「収入に比して買い物が多いのではないか」「家計の中で通信費や交際費などの支出が多すぎないか?」すなわち「浪費」に当たるなどと指摘される可能性もあります。

事業に失敗した場合には「なぜきちんと見通しを立ててから起業しなかったのか」「なぜ安易に借入に頼ったのか」「事業資金の借り入れは本当に全額事業に使ったのか」などと、経営判断における情報収集や意思決定過程が著しく不合理であったのではないかという疑念を抱かれたり、代表者個人の資産への不適切な流用等が疑われたりする可能性が高くなるでしょう。

そういったとき、適切な説明ができないと、思わぬ免責不許可事由に該当すると指摘されて免責されない可能性や、さらには会社の役員としての責任を追及される可能性も出てきます。

2回目の自己破産で免責を受けるには、破産手続きに詳しい弁護士によるサポートが必須です。
免責不許可事由がある場合はもちろんのこと、ないと思われる場合でも、スムーズに手続きを進めるために弁護士までご相談ください。

3.2回目の自己破産が難しい場合の対処方法

上記のような条件により、2回目の自己破産はハードルが高いです。

もし、2度目の自己破産が難しい場合には、以下のように対応しましょう。

(1) 前回の破産から7年が経過していない場合

前回の自己破産から7年が経過していない場合、「あと数か月で7年になる」という状況であれば、7年が経過するのを待ってから自己破産を申し立てるという方法も取れるでしょう。

しかし、「前回の自己破産から5年しか経過していないのにもうたくさんの借金ができた」などという場合には、7年経過まで待つのは難しいです。

この場合、個人再生か任意整理によって解決する方法をお勧めします。

個人再生とは、裁判所に申立をして借金返済額を大幅に減額してもらう手続きです。

個人再生は法的整理という意味では破産と共通しますが、破産のような「免責」という規定がないため、免責が得られない可能性が高い場合には有用な手段となり得ます。
任意整理は、債権者と直接交渉を行って借金返済額を減額調整する解決方法です。

任意整理は法的整理ではなく裁判所が関与しませんので、そもそも「免責」という概念自体、ありません。

前回の自己破産から短期間しか経過していないなら、さほど大きな借金ができていないケースも多いでしょう。このような場合、個人再生や任意整理で解決できる可能性も十分にあります。

(2) 1回目と同じ免責不許可事由がある場合

2回目も1回目と同じ原因で借金ができてしまった場合、前回から7年以上が経過していても、免責を認めてもらえない可能性が高くなります。

その場合にも、やはり、個人再生または任意整理で解決する方法を検討しましょう。
上記のとおり、個人再生にも任意整理にも「免責」に相当する制度がないからです。

ただし、通常の小規模個人再生の場合には、再生計画案が認められるために「債権者の過半数の反対がないこと」が必要です。
申立前に債権者を騙すような悪質な行為をしていると、再生計画案の書面決議で反対され、再生計画案が不認可になる可能性があります。

任意整理でも、個別の債権者との合意が必要なので「借りて一度も返済していないのにすぐに任意整理した」借金などがあると、交渉が難しくなる可能性があります。

個人再生や任意整理を成功させるにも、債務整理手続きに長けた弁護士によるサポートが必須ですので、状況がこれ以上悪くなる前にお早めにご相談ください。

4.2回目の自己破産は弁護士へご相談ください

前回自己破産したのに再度借金してしまったことを、過度に恥じたり、自分を責めたりする必要はありません。
2回目の自己破産が認められるケースも多数ありますので、心配せずに、まずは債務整理に積極的に取り組んでいる弁護士までご相談ください。

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