交通事故でむち打ちに…。まだ治らない?治療期間はどれくらい?

交通事故被害で一番多い怪我は「むち打ち」といわれています。
むち打ちは、事故直後すぐに痛みが発生することもありますが、2~3日経ってから症状が現れることもあり、ひどいケースでは治療が長期に渡り、後遺障害として残ってしまうこともあります。
なかなか完治せず「いつになったら治るのか?」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、むち打ちの症状や平均的な治療期間、むち打ち症でよくある後遺障害14等級、12等級における症状や必要な治療期間について、わかりやすくご説明します。
このコラムの目次
1.交通事故のむち打ち症状と治療期間
まずは、交通事故におけるむち打ちの症状や治療期間についてお伝えします。
(1) むち打ちの代表的な症状
むち打ちとは、交通事故の衝撃によって頸部(首)に大きな力が加わることにより起きる筋肉や神経の損傷を指します。
病院では、頚椎捻挫、頸部捻挫、外傷性頸部症などと診断されます。
代表的な症状としては、首や肩、腕の痛み・痺れがあります。これ以外にも、運動痛や頭痛、めまい、視覚障害、疲れやすいなどの症状がおきることもあり、慢性化してしまうこともあります。
(2) 完治までの期間は平均3ヶ月程度
むち打ちの完治までの期間としては、平均3ヶ月程度といわれています。
裁判実務でも「衝撃の程度が軽度であり、損傷が頸部軟部組織にとどまる場合は、…長くとも2,3ヶ月いないに通常の生活に戻ることができる」(昭和63年4月21日最高裁判決)という判例があり、完治する場合は3ヶ月程度で完治するというのが一般的な認識といえるでしょう。
もっとも、すべてのむち打ち症が3ヶ月で完治する訳ではありません。ほとんどのケースでは3ヶ月程度で治癒するケースが多いのですが、治療が長期に及んでもなかなか完治に至らないケースもあります。
事故や怪我の内容によっては長期化することもあるため、稀に6ヶ月、1年、それ以上と治療が続くこともあると考えておくべきです。
参考文献:一般社団法人 JA共済総合研究所「交通事故によるいわゆる“むち打ち損傷”の治療期間は長いのか」
2.治療期間の終了後は後遺障害認定を受ける必要
治療が長期化すると、ある一定の時期に「症状固定」と医師から宣告されることがあります。
また、保険会社から症状固定と共に治療費の打ち切りを打診されることもあります。

[参考記事]
保険会社から治療費の打ち切りを打診されたときの正しい対応
症状固定とは、医学的に見てこれ以上改善が見込まれない状態を指し、この時点から治療ではなく保存療法に移行すべき時期となります。
任意保険会社からの治療費は打ち切られるため、今後の治療費などの補填としては後遺障害認定を受けるべきです。
後遺障害認定を申請し、等級を獲得できれば、後遺障害慰謝料や逸失利益(後遺障害が残ったことによりその後の収入が減ることに対する賠償金)を請求することができます。
もっとも、後遺障害認定等級は申請すれば必ず獲得できるものではないため、万全の準備をして臨む必要があります。
3.後遺障害14級の治療期間・症状
むち打ちの後遺障害で獲得できる等級の多くは14級と12級ですが、14級が圧倒的に多いといわれています。
そこで、まずは14級獲得に必要な治療期間や症状について見ていきましょう。
(1) 治療期間と通院頻度
14級を獲得するための治療期間としては、一概に何ヶ月以上ということはできません。先にお話しした通り、むち打ち症の治療期間は人によって異なるためです。
もっとも、3ヶ月で完治することが多いことから、それ以上の治療期間は必要と考えるべきです。
6ヶ月程度で症状固定を診断される方も多く、また現実的に6か月程度の通院がなければ後遺障害認定可能性は極めて低いため、少なくとも6か月程度を目安と考えておきましょう。
しかし、治療期間が長くても通院頻度が少なければ、治療の効果が上がっているとは言えなくなってしまう可能性があります。
また、やはり適度な通院頻度がなければ、認定可能性は極めて低くなるでしょう。したがって、治療期間も治療回数にも気を付けておくべきです。
「忙しくて通院できない」という方も多くいらっしゃいますが、後遺障害認定等級の観点から考えると、痛みなどの症状がある間は最低でも1週間に1回などできる限り定期的に通院すべきです。
(2) 14級に認められ得る症状
むち打ち症の後遺障害として申請できる等級で一番多いのが、14級9号です。
14級9号では「局部に神経症状を残すもの」である場合に等級が獲得できます。
これを判断するに際しては、受傷時の状態や治療経過から自覚症状の連続性・一貫性が確認できるかどうか、神経学的所見から当該症状が医学的に説明可能であるかという観点から審査されます。
14級を申請する際によくある症状としては、首や腕痛み、痺れ、頭痛や顔面痛、吐き気、耳鳴り、めまい、不眠などが挙げられます。
いずれも、12級との対比で、画像の所見からはっきりとした異常所見が確認できず「医学的に見て証明できる」とまではいえないケースとなります。
交通事故の衝撃で自律神経まで損傷した場合のバレリュー症候群や脊髄に負荷がかかり神経根が引き延ばされる・圧縮されるなどの根症状がある頸部捻挫、頚椎捻挫などが多くなっています。
4.後遺障害12級の治療期間・症状
14級よりも重いむち打ち症と考えられているのが12級です。
(1) 治療期間は6ヶ月程度が目安
むち打ちで12級を獲得するためには、どれくらいの通院期間が必要なのでしょうか。
治療期間に関する考え方は14級と同じで、必ずこれ以上の期間が必要というものはありません。
むち打ちの治療が長引いた場合に、症状固定の時期として一般的に6ヶ月程度が目安といえるでしょう。
もっとも、医師からもっと長い期間を通院すべきと言われた場合、症状固定を言い渡された時期を基準として考えてください。
また、14級と同様に治療期間が1年など長期に及ぶ場合でも、通院頻度が少なければ「自覚症状が一貫しない」と判断されてしまう可能性があります。
そのため、2,3日に1回の通院が理想ですが、最低限1週間に1度は病院に通うようにしましょう。
(2) 12級に認められ得る症状
14級よりもより重い後遺障害として認定される12級。むち打ちの場合は、12級13号を獲得できる可能性があります。
12級13号では「局部に頑固な神経症状を残すもの」と規定されています。具体的には、レントゲンなどの画像所見にて神経や脊髄への圧迫が確認できるなど、他覚的所見、神経学的所見の見地から自覚症状を医学的に証明できることが必要です。
少し難しい内容ですが、14級との違いは、レントゲンやCT、神経学的検査などの検査結果からはっきりと原因がわかり、痛みやしびれなどの自覚症状との因果関係が証明できなければいけません。より深く言えば、その症状の原因となる問題点が事故によって生じたものであるということを含めて、画像等の他覚所見から判断できる必要性があります。
症状として多いのは、頸部・腕・手指の痛みやしびれ、吐き気、耳鳴り、めまい、不眠、また非常に重い症状として知覚障害、歩行障害などが挙げられます。
診断名としては、頸部捻挫、頚椎損傷、外傷性頸部症候群、頚椎椎間板ヘルニア、後縦靱帯骨化症、変形性頚椎症、脊椎管狭窄症などがあります。
5.むち打ちが完治しない場合、後遺障害認定は弁護士にご相談を
治療期間が長期に渡った場合、なかなか症状が治まらないのにも関わらず、症状固定や治療費打ち切りを打診されてしまう可能性があります。
こうなると、「今後の治療はどうなるのだろう」「自己負担で治療費が払えるのか」など不安になってしまいます。
まだ痛みが残るのに症状固定が診断されたという場合には、後遺障害認定の申請を検討してください。
申請について不安や疑問がある場合は、後遺障害認定申請に精通した弁護士にご相談いただくのが一番です。

[参考記事]
後遺障害等級認定と3種類の慰謝料計算基準について
泉総合法律事務所では、交通事故案件を多数承っており、ご相談者様の症状ごとに適正な等級獲得へ導いてきた実績が豊富にあります。交通事故の怪我でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
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