交通事故

交通事故で骨折したら、慰謝料はいくらになるのか?

交通事故でよくある怪我の1つとして、骨折があります。
骨折にもさまざまな症状、場所がありますが、それによって慰謝料の額は異なってきます。そうすると、実際のところいくらもらえるのかが気になるところです。

今回は、交通事故で骨折した場合に請求できる慰謝料額についてご説明します。

1.交通事故における慰謝料とは

まずは、交通事故における損害賠償と慰謝料の関係、慰謝料の種類についてご説明します。

(1) 損害賠償と慰謝料の違い

被害者によくある疑問として「損害賠償と慰謝料って同じ?」というものがあります。

実際のところ、損害賠償=慰謝料という理解は間違いです。
交通事故における損害賠償請求とは、当該事故における全ての損害を請求することを指します。法的根拠は民法709条、710条の不法行為に基づく損害賠償請求となります。

他方、慰謝料とは、この中でも精神的苦痛に対する損害賠償となります。
つまり、損害賠償は加害者に請求する全体の請求を指し、その中の一部を取り出したものが慰謝料ということです。

車の修理費などの財産的損害については、実害が把握しやすいことからあまり揉めることはないのですが、慰謝料などの精神的損害は目に見えないため、加害者・被害者の間で揉めることがよくあります。

(2) 骨折で得られる慰謝料の種類

では、交通事故で骨折被害に遭った場合、慰謝料としてはどのようなものが受け取れるのでしょうか。

慰謝料にはいくつかの種類があります。具体的には、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料ですが、このうち死亡慰謝料は骨折では通常考えられません。
死亡慰謝料は、当該事故により被害者が死亡した場合に遺族に認められる請求であるためです。

以上から、骨折の慰謝料については、以下が認められます。

  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料

入通院慰謝料は、当該事故による負傷の治療のために入院や通院をしなければいけなくなった精神的苦痛に対する賠償金を指します。

後遺障害慰謝料は、当該事故による負傷で後遺障害が残ってしまった場合に、その精神的苦痛を償うために支払われる賠償金のことです。
後遺障害慰謝料は、後遺障害等級認定を受けて初めて請求できるものとなります。

2.交通事故でよくある骨折の種類

次に、交通事故でよくある骨折の部位や種類、後遺障害等級、逸失利益について見ていきましょう。

(1) 部位と症状

交通事故の場合、肋骨、腕、肘、手首、鎖骨など骨折することが多いようです。

骨折の種類としては、単純骨折、開放性骨折、剥離骨折、圧迫骨折、粉砕骨折などがあります。粉砕骨折は非常に重い骨折であり、治療にも相当程度時間が必要です。

骨折の治療期間としては、早くて1ヶ月半、長くて4ヶ月程度で完治することが多くなっています。
なかなか治癒せず、症状固定になる場合は骨癒合のときとされ、6ヶ月程度で症状固定と診断されることが多いでしょう。

症状固定となった場合には、その後は後遺障害の問題となります。骨折で後遺障害に認定される症状としては、以下があります。

  • 変形障害
  • 短縮障害
  • 運動障害
  • 神経症状

骨折に関しては、骨折部位、骨折の種類、治療期間、後遺障害でよくある症状を把握しておくことが大切です。

(2) 骨折は何等級に認定されるか

交通事故による骨折の場合、後遺障害等級では14等級から1等級まで認定される可能性があります。

骨折の内容や症状、骨折した部位によって等級は変わってくるため、一概にどの等級に認定されるということはできません。

もっとも、先に挙げた4症状に関してそれぞれ認定できる等級を指摘することはできるため、以下で詳しくお伝えします。

また、弁護士基準による等級ごとの後遺障害慰謝料額は以下の通りのため、照らし合わせながら見ていきましょう。

①変形障害|骨が変形する障害

変形障害とは、交通事故などによる骨折により、骨の形が変わってしまったことが見た目から明らかにわかるケースを指します。具体的には、せき柱変形、偽関節などを指します。

せき柱変形とは、せき柱を骨折した際にそのまま変形が残ってしまう障害のことです。
他方、偽関節とは、骨折部分がうまく癒合せず、骨折部分に動きが残るケースをさします。後遺障害等級としては、それぞれ以下となります。

  • せき柱変形
    せき柱に著しい変形の場合:6級5号(1180万円)
    せき柱変形の場合:11級7号(420万円)
  • 偽関節
    腕に偽関節を残し、運動障害がある場合:7級9号(1000万円)
    足に偽関節を残し、運動障害がある場合:7級10号(1000万円)
    腕に偽関節を残す場合:8級8号(830万円)
    足に偽関節を残す場合:8級9号(830万円)

②短縮障害|骨が短くなる障害

短縮障害とは、骨折により骨が短くなり、腕や足などが左右対称でなくなってしまう障害です。

短縮障害の場合は、短縮した長さによって等級が変わります。短縮した長さが長いと、等級は重く認定されます。以下が例となります。

  • 足のどちらかを5cm以上短縮した場合:8級5号(830万円)
  • 足のどちらかを3cm以上短縮した場合:10級8号(550万円)
  • 足のどちらかを1cm以上短縮した場合:13級8号(180万円)

③運動障害|うまく関節が曲がらない障害

運動障害とは、骨折が原因で関節がうまく曲がらなくなってしまう障害です。可動域制限、機能障害ともいいます。

運動障害の場合は、可動域制限の幅によって等級が変わります。

  • 両下肢の関節の用を全廃した場合:1級6号(2800万円)
  • せき柱に著しい運動障害を残す場合:6級5号(1180万円)
  • 上半身の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残す場合:10級10号(550万円)

④神経症状|痛み、しびれが残る障害

神経症状とは、骨折の治療が終わっているのにもかかわらず、痛みやしびれなどが残る場合です。

神経症状の場合は、神経症状の強度によって等級が変わりますが、実際上はレントゲン写真等によって癒合不全などの他覚的所見が確認できるかどうかによって変わります。

  • 局部に頑固な神経症状を残す場合:12級13号(290万円)
  • 局部に神経症状を残す場合:14級9号(110万円)

以上が、骨折における後遺障害等級となります。

等級によって、後遺障害慰謝料の額は数十万、数百万と変わってくる可能性があるため、慎重に準備を進めていくべきです。

(3) 後遺障害による逸失利益

後遺障害が認定されると、逸失利益というものも請求できます。
逸失利益とは、交通事故がなければ得られた利益のことを指し、後遺障害逸失利益は、障害がなければ将来的に得られたであろう収入のことを指します。

後遺障害が残ると、今まで通りの生活はできなくなってしまう可能性があります。特に、仕事において支障が出ると、安定した収入が入らなくなってしまうか、減収してしまう可能性があります。

この損害を補おうという考えが逸失利益の請求となります。

逸失利益の額は、被害者の年齢、基礎収入、労働能力喪失率、ライプニッツ係数を基準として算出します。

基礎収入は、源泉徴収票などの年収から算出します。労働能力喪失率は、後遺障害等級によって定められています。また、ライプニッツ係数は、事故時の年齢に対応する就労可能年数から求めます。

計算式としては以下の通りです。

基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数=後遺障害逸失利益

実際の逸失利益の額は、等級や年齢、収入によってかわってくるため、後遺障害等級で獲得できそうな等級が定まってから逸失利益の額を算出すると良いでしょう。

3.骨折の入通院慰謝料の計算方法

最後に、骨折した場合の入院通院慰謝料の計算方法をお伝えします。

(1) 3つの基準

入通院慰謝料を算定する際は、まずはどの基準で算定するかが問題となります。具体的には、自賠責基準、任意保険会社基準、弁護士基準の3つの基準があります。

自賠責基準が一番低い基準となっており、基本的には1日4200円が支払われますが、対象となる日数は実際に通院した日数の2倍とされることが多いです。

任意保険会社基準は、任意保険会社が独自に定める基準で、自賠責基準と弁護士基準との中間に位置する基準です。

弁護士基準は、裁判で用いられる基準であり、一番高額なベースとなっています。ただし、弁護士に依頼しないと、この基準を用いて慰謝料を算出することができません。

(2) 入通院慰謝料の計算

最後に、《骨折で1ヶ月入院、2ヶ月(10回)通院した場合》を例として、それぞれの基準で計算した入通院慰謝料をご紹介します。

任意保険会社基準については、保険会社独自の基準であるため割愛しますが、自賠責基準と弁護士基準の間くらいの額になると想定していただければ良いでしょう。

【自賠責基準の場合】
計算式 1日4200円×(実通院日数×2or通院期間の少ない方)
4200円×(40日×2)=336000円
自賠責基準での入通院慰謝料は33万6000円となります。

【弁護士基準】
弁護士基準の場合は、表を用いて入通院慰謝料を算出します。

上記表にて、入院1ヶ月と通院2ヶ月の交差する部分である98万円が入通院慰謝料の額となります。

以上から、自賠責基準と弁護士基準では、64万4000円もの違いがでることがわかります。

4.交通事故で骨折の慰謝料を増額したいなら弁護士に相談を

骨折で通院しながら、正当な慰謝料獲得のために動くのは大変です。

弁護士に任せれば、面倒な慰謝料請求や交渉ごとを全て任せられるだけでなく、弁護士基準の慰謝料算定で慰謝料の大幅な増額も期待できます。

どのくらいの慰謝料が実際に請求できそうか気になる方は、泉総合法律事務所までご連絡ください。

当事務所では、交通事故に関する交渉、慰謝料請求、後遺障害認定等級まで豊富な実績があります。初回相談は無料となっておりますので、まずはお気軽にご相談いただければと思います。

無料相談受付中! Tel: 0120-701-271 平日9:30~21:00/土日祝9:30~18:30
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