大宮で痴漢事件の示談をするためにはどう対応すべき?
最近、ニュースやSNSでもよく話題となる痴漢事件。「自分もやってしまった…」という方は、一度話題に火がつくと、逮捕されていなくとも不安になることでしょう。
痴漢事件を起こしてしまったら、自ら出頭すべきです。しかし、今後の生活に不安がある方や、逮捕後の対応がわからない方も多いでしょう。
その場合は、まず弁護士にご相談ください。刑事弁護に詳しい弁護士が、事件解決のために一緒に対応策を考えることができます。
今回は、痴漢をしてしまった場合にその後どうなるか、弁護士に依頼するメリットを解説します。
このコラムの目次
1.痴漢はどのような犯罪なのか
まずは、痴漢行為にどのような犯罪が成立するかから見ていきましょう。
(1) 迷惑行為防止条例違反(第2条4項、12条1項)
痴漢行為は法令で禁止されています。
もっとも、痴漢罪という罪が規定されているわけではありません。痴漢行為の多くは「迷惑行為防止条例違反」で検挙されています。
迷惑防止条例は各都道府県が規定する条例であり、公共の場所でやってはいけない不快な行為などを規定し、罰則を設けています。埼玉県の迷惑防止条例では、痴漢行為は以下のように規定されています。
第2条4項 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ…等人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。
また、罰則においては以下のようになっています。
第12条2項 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
規定を見てわかる通り、駅のホームや電車内、路上などで他人に触れる行為は「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動」の一類型として禁止されています(埼玉県の条例では、盗撮も同じ条文で処罰されます)。
基本的には、下着や衣服の上から他人の身体を撫で回すような行為はこの条例に違反する痴漢行為として逮捕されます。
これ以外にも、満員電車内で背後から密着して性器を押し付けるような行為も明示はされていませんが、手で触れる行為同様に羞恥や不安をもたらす行為として同様に処罰されます。
その手口や動機、前科や余罪の有無、生活態度等の事実から常習と判断された場合には罰則が厳しくなり、「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」が課されます。
(2) 強制わいせつ罪(刑法176条)
痴漢で逮捕される場合は、迷惑行為防止条例違反以外にも刑法犯である強制わいせつ罪に問われる可能性があります。刑法には以下のような内容が規定されています。
刑法176条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
基本的には、下着の中にまで手を入れて触れるような行為、下着をずらすような行為をした場合に、強制わいせつ罪が適用されています。
この法律の保護の対象は、男女両方です。
近年の改正で、男性・女性両方が保護すべき対象となりました。また、強制わいせつ罪を含む性犯罪においては、近年厳罰化傾向にあり、被害者からの告訴がなくても検察官が起訴できる仕組み(非親告罪化)となっています。
さらに条文上は「暴行または脅迫」とありますが、相手の同意なく電車内等で性器等を触れる行為においては、相手は著しく抵抗が困難な状況と判断されるため、殴る蹴る等一般に暴行と言うと思い浮かぶ行為がなくても、触れる行為だけで強制わいせつを成立させる暴行があったと判断されます。
痴漢事件では、当初は迷惑行為防止条例違反として軽めの罪で逮捕したが、取り調べで事情を聞いた後に行為態様が重いとして強制わいせつ罪に切り替えることがあります。
法定刑としても、罰金がなく6ヶ月以上の懲役が規定されているためかなり重い罪となります。
2.痴漢で逮捕されるとどうなるか
皆さんは、警察に逮捕されるとそのまま留置所などに留め置かれ、家に帰れないというイメージをお持ちではないでしょうか?
実際、そのような事件もありますが、家に帰れる事件も多くあります。
以下、身柄を勾留される「身柄事件」と、それ以外の「在宅事件」に分けて解説します。
(1) 身柄事件|警察に身柄を拘束され捜査される
逮捕後に警察署に留め置かれ取り調べが続き、身柄が拘束されるケースのことを「身柄事件」といいます。全体の3割ほどは身柄事件として扱われているようです。
痴漢事件の場合は、現行犯逮捕がほとんどです。被害者あるいは周囲の人からの申告で駅員または捜査官に逮捕され、その後警察署で取り調べを受けます。
逮捕から48時間以内に検察に身柄が送致され、検察官はその後24時間以内に勾留請求をするかどうかを決定します。
勾留の必要性(罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれ)があると裁判官が判断すれば、勾留が決定します。
原則として、送致から10日間、延長されればさらに最大で10日間留置されることになります。
痴漢で身柄事件となるのは、常習犯の可能性がある場合や、明らかな証拠があるのに否認しているケースです。
身柄事件となってしまった場合には、逮捕から23日間家に帰れない可能性があるため、日常生活への影響が大きいといえるでしょう。
(2) 在宅事件|身体拘束がなく捜査される事件
「逮捕されたと思ったら家に帰された」という場合は、在宅事件として処理されています。
在宅事件とは、身柄事件のように警察署の施設で容疑者を拘束することなく、捜査を続ける事件のことを指します。身柄を拘束している場合と違い、厳格な制限時間が適用されない点で大きく異なります。
在宅事件となった場合は「お咎めなし」ということではなく、捜査は継続しているため、警察に呼び出されることがあります。
いつ呼び出されるのかは予告されることもありますが確実にはわからず、いつこの状態が終わるのかも捜査機関の都合次第であり通常はわかりません。
そのため、身柄事件と違って事件が長期化しやすいともいわれています。場合によっては、起訴・不起訴を決定するまでに数カ月以上、ひどいときには1年前後かかることもあるでしょう。
在宅事件の場合、あまり生活を変えることなく済むのがメリットですが、いつ事件が収束するのかの見当がつきにくいのがデメリットともいえます。
在宅事件となりやすいのは、迷惑防止条例違反で立件された場合、十分な証拠がない場合、証拠隠滅の可能性がない場合、同居家族がいて逃亡の可能性がないと判断できる場合です。
在宅事件になると気を緩めがちですが、捜査次第で後から勾留請求が出されたり、起訴されたりする可能性もあります。
捜査に対する非協力を理由に拘束されるようなことのないよう、警察の取り調べには素直に応じ、不誠実な対応はしないようにしましょう。
《近隣の警察署情報》大宮警察署
〒330-0835さいたま市大宮区北袋町一丁目197番地7
048-650-0110
3.痴漢の弁護を弁護士に依頼するメリット
最後に、痴漢弁護を弁護士に依頼するメリットをお伝えします。
(1) 被害者の連絡先は弁護士のみが知り得る
痴漢事件で不起訴に持ち込む、量刑を軽くするなどの有利な展開を望む場合は、被害者との示談が不可欠です。
示談は加害者と被害者との和解という意味合いを持ち、その中には「加害者の処罰を望みません」という条項を加えることもできます。これが被害者による「お許し」を意味し、被害届等による厳重処罰の意思の表示を打ち消す効果があります。
これは起訴・不起訴の決定に大きな効力を持つことから、示談をいち早く成立することが極めて重要です。
しかし、痴漢事件の場合、多くの被害者は加害者や加害者家族と連絡を取りたがりません。というのも、被害に遭い精神的にも大きな傷を負っていることが多いためです。一日も早く事件のことを忘れたいという心情を抱くのはやむを得ないところがあります。
無理やり連絡を取ろうとすると「脅迫している」と取られかねないため、ご自身で示談を行おうとするのは絶対に控えるべきでしょう。
被害者は、弁護士なら話を聞いてくれるケースがよくあります。間に第三者が入れば、冷静に話し合いが進み、示談も円滑に進みます。
刑事事件をよく担当している弁護士なら、被害者との話し合いにも慣れているため、示談は比較的早く行うことができるでしょう。
このように、痴漢事件では弁護士を通さないと示談が難しいという状況があります。
示談は事件の早期解決に必須であるため、身柄事件、在宅事件に関わらず早めに相談すべきです。
(2) 不起訴、減刑の可能性が高まる
身柄事件の場合は、逮捕されて3日以内が勝負です。この間にどれだけの弁護活動が行えるかによって、その後の処遇が変わってきます。
できるだけ早く弁護活動を開始することで、示談も早期にまとまり不起訴の可能性が高くなるでしょう。
残念ながら起訴が決定した場合でも、弁護活動を続けていけば、早期釈放を訴えることができます。量刑も法の定める最小限に近いところで済むように手を尽くすことができるのです。
通常通りの生活に早く戻りたい場合は、早めの弁護活動が欠かせません。対応が遅れれば遅れるほど、釈放までの時間が延びてしまい、日常生活への影響が避けられなくなってしまいます。
これは、在宅事件であっても同じです。早めに示談を行い、弁護活動を開始することで不起訴や通常より軽い処分(本来なら正式裁判だが略式罰金命令で終わらせるなど)の可能性は高くなります。
以上から、痴漢事件は弁護士に依頼することで不起訴や軽い処分の可能性が高くなります。
取り調べに対する法的アドバイスもできますので、間違った対応をしてしまう前にお早めに弁護士にご相談ください。
4.痴漢事件の示談は大宮の弁護士にご相談を
痴漢事件を起こしてしまい、どう対応したらよいかわからない場合は、ぜひ地元の弁護士にご相談ください。
大宮の地域事情も知り尽くした弁護士が、将来の影響を最小限にできるように手を尽くします。
痴漢事件はできる限り早い対応が肝心です。しっかりと反省して捜査に協力すれば、処分も軽くなる可能性がありますし、十分な更正も可能です。
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