刑事事件

過失運転致死傷罪を犯してしまった…。示談の効果は?

過失運転致死傷罪を起こしてしまい、相手に死傷を負わせた場合、逮捕されてしまうのか、裁判になるとどうなるのか、加害者はもちろん、その家族の方も、心配が尽きないことと思います。

以下においては、過失運転致死傷罪について、飲酒運転などの人身事故で刑が重くなる場合、過失運転致死傷罪で逮捕された後の流れ、過失運転致死傷罪の量刑傾向、示談をする必要性などについて、説明することとします。

1.過失運転致死傷罪について

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車死傷法)第5条は、「自動車の運転上必要な注意を怠って、人を死傷させた場合には、過失運転致死傷罪が成立する」としています。

そして、この場合、7年以下の懲役・禁錮又は100万円以下の罰金に処せられます(ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑が免除される場合もあります)。

自動車の運転に伴う事故は、職業運転手だけでなく、通常の社会生活を送っている一般市民も、わずかなミスで起こす可能性がありますので、注意が必要です。

2.刑が重くなる場合(過失)

(1) 無免許運転による加重の罪

自動車を運転するのに運転免許を受けなければならないのは、最も基本的なルールです。
この最も基本的なルールさえ無視する「無免許運転」は、規範意識(交通ルールを守ろうとする意識)を欠いたものとして、厳しく非難されます。

そのため、無免許運転で過失運転致死傷の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処せられます(第6条4項)

(5) 飲酒運転との併合罪

酒酔い運転の罪(道交法117条の2第1号:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金)と過失運転致死傷罪との併合罪の場合には、一般的に懲役刑が選択され、10年6月以下の懲役に処せられます。

また、酒気帯び運転の罪(道交法117条の2の2第3号:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)と過失運転致死傷罪との併合罪の場合には、同じく懲役刑が選択され、10年以下の懲役に処せられます。

飲酒運転は、重大な過失(悪質な運転)と位置づけられていますので、過失運転致死傷罪の量刑に比し、より重くなることが推測されます。

3.過失運転致死傷罪で逮捕された後の流れ

(1) 身柄拘束の有無

過失運転致死傷罪の容疑で逮捕された場合(住居不定又は逃亡のおそれに当たればともかく)被疑者は、勾留されずに、捜査機関側が任意に釈放しているのが一般的です。

軽い罪ではありませんが、現場検証等で捜査機関が十分な客観的証拠を得ることができ、被疑者から被害者への働きかけも考えにくいことにより捜査妨害の可能性が薄い犯罪である事情がその理由に挙げられるでしょう。

(2) 起訴・不起訴までの流れ

警察は、被疑者の身柄拘束の有無を問わず、事件を検察官に送致しますが、被疑者が逮捕されている場合には、司法警察員は、逮捕から48時間以内に被疑者を書類や証拠物とともに検察官に送致しなければなりません。

そして、検察官は、送致の段階で更なる捜査が必要な場合で、かつ被疑者が逮捕されている場合は、送致を受けてから24時間以内、逮捕からは72時間以内に、被疑者の勾留を裁判官に請求します。

裁判官は、被疑者が、住居不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれのいずれかに当たり、勾留が必要だと判断した場合には、10日間の拘束を認める勾留決定をします。
さらに、やむを得ない事情がある場合には、10日間を上限として勾留が延長されます。

このような身柄拘束が行われない場合は、数週間から数か月かけて捜査が進行します。

捜査機関から任意に事情聴取に応じるよう求めがあった場合には、被疑者としては事実解明のためにできるだけ協力するのが良いでしょう。

検察官は、警察と協力して十分な捜査を行い、起訴・不起訴の処分をします。起訴する場合には、正式裁判とするか略式手続にするかも検察官が判断します。

4.過失運転致死傷罪の量刑傾向

本罪に関する量刑の研究によれば、禁錮以上(執行猶予を含みます)の前科がある場合、被告人(加害者)の出捐(金銭や品物を寄付すること)による見舞金や被害弁償がなされていない場合、結果が重大(被害者死亡、被害者に重篤な後遺症、負傷者が2人以上など)である場合には、執行猶予のつかない懲役刑すなわち実刑とする判断がなされる傾向にあるようです。

他方で、加害者側が誠意をもって謝罪・慰謝の措置をとり、それを受けて被害者側が宥恕・寛大な刑を要求している場合(厳罰までは求めていないような場合も含みます)には、執行猶予が付く判断がなされる傾向にあるとしています。

加害者側は、起こしてしまった事故に対して、事故後、誠意をもって被害者に謝罪し、慰謝の措置をとることが重要です。
この点が、唯一刑を軽減する方法ということになるでしょう。

5.示談をする必要性

過失運転致死傷罪の場合、略式手続による罰金や不起訴処分(起訴猶予)の件数が公判(正式裁判)請求の件数よりもはるかに多いので、人身事故の事犯で罰金や不起訴となるためには示談の成立(加害者側の出捐による見舞金や被害弁償をも含むものです)が有効です。

これは、刑期の軽減にも影響するといえます。

交通事故の場合、自動車保険による損害賠償がなされることが通例であり、無保険などでそれがなされないことが刑事裁判では悪い事情として評価されることになりますが、示談は保険会社から支払われる保険金とは別に加害者が自腹での負担をすることにより刑事上の責任について許しを請うものとなります。

しかし、結果が重大であればあるほど、そして加害者にとって被害者側と示談する必要があればあるほど、被害者側の処罰感情の宥和を得るのは、すなわち示談交渉は難航することが予想されます。

したがって、被害者側との示談交渉は、法律のプロである弁護士に委ねるべきです。

弁護士は、加害者の謝罪・慰謝の気持ちを被害者側に伝えた上、加害者側の出捐による見舞金や被害弁償だけでなく、後日の保険による支払も見越したうえで、適切な金額を提示して、被害者側の納得が得られるように、示談成立に尽力します。

その結果、示談が成立すれば、被害者側の処罰感情も宥和されます。

このように見てきますと、被害者側と示談が成立すれば、加害者に有利な情状として、検察官の起訴・不起訴や裁判での実刑・執行猶予の判断はもちろん、実刑の場合の刑期の軽減にも影響するといえるのです。

6.まとめ

過失運転致死傷罪においては、いかに示談が重要かはお分かりいただけたことと思います。
刑事事件に発展するような交通事故ならば、お早めに弁護士にご相談ください。

泉総合法律事務所は、スピード勝負である刑事事件に迅速に対応するのはもちろん、示談を含め、適切にアドバイスいたします。
交通事犯にも精通している泉総合法律事務所に、是非とも刑事弁護をご依頼ください。

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