万引きで後日逮捕されるケースとは?弁護士相談で正しく対処
「万引きで逮捕」と聞くと、スーパーで犯行直後に店長に呼び止められ警察に連絡されてしまう、というイメージが一般的ではないでしょうか?
万引きは身近な犯罪であるため、ニュースや友人の話で聞いたことがある方も多いかもしれませんが、「窃盗罪」というれっきとした犯罪です。
「その場で逮捕されなければ捕まらない」というのは事実とは異なります。後日、防犯カメラなどから犯行がばれ捕まってしまうケースもあります。
今回は、万引きの後日逮捕について、何罪が成立するのか、逮捕されるケース、逃げてしまった場合の正しい対処法をお伝えします。
このコラムの目次
1.万引きの罪名
(1) 万引きは窃盗罪
「万引き」は、聞きなれた犯罪かもしれません。しかし、刑法上に「万引き罪」というものは存在しません。
万引きは「窃盗罪」です。刑法235条には以下の通りに規定されています。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
万引きは、簡単にいうと他人の占有する財物を奪う犯罪です。これが、「他人の財物を窃取する」にあたるため、窃盗罪として捕まってしまうのです。
仮に窃盗罪として処罰されることが確定した場合には、10年以下の懲役か50万円以下の罰金となります。
「万引きなんて警察に注意されるだけで終わる」と考えていた方にとって「10年以下の懲役」は重い言葉と感じるはずです。
(2) 万引きの検挙率
次に、万引きの検挙率について見ていきましょう。
まずは、窃盗罪全体の認知件数や検挙率に関する統計です。平成30年の犯罪白書によると、平成29年の窃盗罪の認知件数は655,498件、検挙件数は204,296件でした。検挙率で見てみると、31.2%です。
この数字を多いと捉えるか少ないと捉えるかは個人の実感によっても異なりますが、全体の犯罪で見てみると検挙率は低めです。
しかし、窃盗の件数は他の犯罪に比べ圧倒的に多いため、検挙率が下がるのも納得できます。
次に、万引きの検挙率についてです。窃盗罪の中には万引き以外にも、空き巣や自転車盗、自動車盗などさまざまな態様があります。
その中でも万引きの認知件数は655,498件、検挙件数204,296件とかなり多く、検挙数は31.2%で窃盗罪の中でもトップの検挙率となります。
二番目に多いその他の非侵入窃盗が12.9%であることから、万引きの検挙数は窃盗罪の中でダントツなのがわかるでしょう。
参考:法務省 平成30年 犯罪白書
1-1-1-2表「刑法犯 認知件数・発生率・検挙件数・検挙人員・検挙率(罪名別)」
1-1-2-4図「窃盗 検挙件数の手口別構成比」
2.万引きの逮捕の種類
万引きの逮捕については、「現行犯逮捕」「後日逮捕」の2パターンが考えられます。
それぞれで逮捕されるケースを見ていきましょう。
(1) 現行犯逮捕
現行犯逮捕とは、犯行中か犯行直後に犯人の身柄を確保する逮捕手続きです。
犯行中や犯行直後は、その人が犯人であることが明らかであり、犯罪行為自体も明らかであるため、裁判官の発行する令状なく逮捕することができます。
捜査官が逮捕することはもちろんですが、一般人であっても逮捕できるのが特徴です。
また、犯行後に万引きが見つかり、逃走中に捕まった場合においても、令状なく一般人が逮捕することができます(準現行犯逮捕)。
こちらも理由は、犯人と犯罪が明らかであるためです。
万引きで現行犯逮捕が行われるシチュエーションとしては、以下が代表例です。
- スーパーで商品を鞄に入れるところで店長や店員に見つかる
- ショッピングモールなどでレジを通らずに建物を出ようとしたときに警備員に見つかる
- 犯行直後、万引きを見張っていた警察官に逮捕される
万引きは繰り返し易い犯罪のため、一度逃げ切るとまた同じ場所で犯行を行うケースがあります。
そのため、お店も警戒体制をとり、警察に見張り捜査をお願いすることがあります。
(2) 後日逮捕
後日逮捕とは、被害発生後、捜査において犯人が発覚し逮捕手続きをおこなうことです。防犯カメラなどの映像から犯人を割り出し、逮捕となるパターンが多いでしょう。
この場合、現行犯逮捕とは異なり令状が必要となります。令状をもって、犯人の自宅に逮捕しに行くケースがほとんどのため、逮捕されるとそのまま警察署に連行されてしまいます。
万引きの後日逮捕の例としては以下の通りです。
- 防犯カメラに顔が映っており、それから個人を割り出し逮捕
- 犯行を見ていた人の証言から犯人にたどり着き逮捕
- 怪しい人物を調べたところ、盗まれた商品が家にあった
万引きに関しては「逃げ切ったら大丈夫」と考えている方がいますが、上記のような犯行の証拠がある場合で逃走・証拠隠滅の可能性がある場合は、朝に警察がやってきていきなり逮捕するパターンも実際にあるのです。
後日逮捕の場合は、令状請求手続きが必要であるため、犯行から1-2ヶ月で逮捕されることが多いでしょう。
もっとも、窃盗の時効は7年のため、犯行から2ヶ月たてば逮捕されないという保証はありません。逮捕される可能性に対する不安は長期間消えないのです。
3.万引きを犯してしまった後の正しい対処法
最後に、万引きで現行犯逮捕されなかった場合(後日逮捕の心配がある場合)の正しい対処法をお伝えします。
(1) 逮捕される前に被害者と示談
最悪のケースは、いきなり後日逮捕されることです。令状をもって逮捕しにくるということは、警察は有罪の自信があり、検察が起訴する可能性を考慮しています。
起訴されてしまうと、有罪になる可能性は99%以上と言われています。罰金でも前科がついてしまいます。
これを避けるためには、できるだけ早い段階、具体的には「逮捕前に」弁護活動を始めることが大切です。
逮捕前に弁護士に弁護を依頼すると、弁護士はすぐに被害者との示談交渉を始めてくれます。被害者との示談がまとまれば、万引き事件を不起訴に持ち込める可能性が高くなります。
起訴・不起訴の判断において、示談が成立しているかどうかは非常に重要です。不起訴となれば、裁判はないため有罪とはならず、罰金も懲役もなく前科もつきません。
そのため「捕まるかもしれない」不安がある方は、できるだけ早い段階で弁護士にご相談いただきたいです。
後日逮捕後であっても示談交渉などの弁護活動はもちろんできますが、できるだけ早く開始すれば、その分不利益を小さくできます。
(2) 示談交渉は弁護士に任せること
「弁護士に相談するのは面倒だから自分で謝りに行こう」と、ご自身で示談交渉をしようと考えるかもしれません。
しかし、示談交渉はできるだけ第三者である弁護士を通すべきです。
被害金額が少ない場合、直接謝り、被害弁償を行えば許してもらえるかもしれません。しかし、そのような保障はどこにもなく、そのまま警察に通報されて逮捕、ということも考えられます。
また、警察に通報しない代わりに法外な示談金を要求される可能性もまれにあります。
できるだけ安全に示談交渉を行うためにも、弁護士を通す最善の方法をおすすめいたします。
4.大宮で後日逮捕の不安がある方は泉総合法律事務所へ
以上より、万引きですぐに逮捕されなかった場合の正しい対処法は、できるだけ早く弁護士に相談することです。
そして、示談交渉を早期にまとめ、不起訴を目指す弁護活動を行うことが重要です。
万引きは、実は懲役刑の可能性もある犯罪です。甘く見ていると、大変な事態になってしまうかもしれません。
万引きをしてそのまま逃げてしまった方、後日逮捕の不安がある方は、どうぞお早めに、刑事事件に強い泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。
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