売掛先の倒産で資金調達ができずに倒産してしまった事例
債務整理方法 | 借金総額 |
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自己破産 | 2億2,500万円 ⇒ 0円 |
背景
本件の会社は、機械部品の製造をしていた会社です。このような分野では、機械の技術進歩に合わせて、設備の入れ替えやメンテナンスなどのために、断続的に設備投資を行う必要があります。本件会社も、金融機関からの融資を原資として、定期的に設備投資を行っていました。本件会社はもともと高い技術を有している会社だったので、もとから多くの受注があり、経営も順調でした。しかし、平成20年頃から、機械の製造業は世界的な不況に陥り、だんだんと顧客からの受注が減り、一時は年商が前年の半分以下になり、資金繰りが大幅に悪化してしました。それでも、本件会社の社長であるAさんの地道な営業努力の甲斐もあって、本件会社は、一度は売上回復の兆しを見せていました。このまま順調に会社の財政状況も安定すると思われた矢先、約4,000万円の売掛金があった大口取引先が、突然、裁判所に会社更生の申立てをしました。その結果、当該売掛金はほとんど回収できず、再び会社の資金繰りに困窮するようになってしまいました。そして、遂には、従業員への給与も準備できない状況になってしまいました。困り果てて自殺まで考えていたAさんは、何とか助かる術はないかと、当事務所へ債務整理の相談をしました。
対応
本件会社の社長であるAさんは、非常に責任感の強い方で、会社の事業を継続できず、会社を立て直せなかったことについて、とても悔いていらっしゃいました。また、従業員への未払給与の扱いついても、非常に心配されていました。そこで、当事務所の方から、従業員の方への給与未払いについては、未払給与の立替払制度を利用することで、全額ではないものの、ある程度は従業員の方々の救済が可能であることを説明し、従業員の方々に対して当該立替払制度の案内をするように指導しました。また、本件会社は、工場設備を所有していたので、弁護士が現状を確認し、そこにある資産を確かめた上で、本件の破産申立を行いました。
結果
本件会社名義で所有していた不動産については、抵当権者(銀行)の債務額よりも高い価額で売却できる可能性があったため、不動産の任意売却を行いました。結果としては、ほんの僅かながら余剰が出ました。また、従業員の未払給与については、各従業員の方から立替払の申立をしてもらい、一部とは言え、従業員の方に支払がなされ、ある程度従業員の救済を図ることができました。そのおかげで、債権者集会において債権者(元従業員を含む)からのクレームが出されるなどといったことはありませんでした。そして、本件では、第1回目の債権者集会において、無事に破産手続は終結し、会社名義の借金2億2,500万円が0円になりました。