債務整理

個人再生にかかる期間はどのくらい?

多額の負債を抱えてしまい「これ以上返済をするのは無理」「一刻も早く借金返済から解放されたい」という方は、問題解決の手段として、今ある借金を減額した上で分割返済していく「個人再生」が選択肢に入ります。

そこで気になるのは、個人再生が認められるまでの期間です。個人再生は裁判所も関わる複雑な手続ですので、最終的に認可を受けるまでには、一定の期間がかかります。

いざ個人再生の手続に踏み切った場合、一体どれくらいの期間で個人再生手続きが終わり、いつから生活は楽になるのでしょうか?

1.個人再生とは

個人再生とは、債務整理の制度の中の1つで、借金を大幅に減額して貰える度です。
実際の減額幅は、負債総額や手持ちの財産の価値等によっても異なってきますが、概ね負債総額の5分の1程度まで借金を減らすことが可能です。

個人再生は、借金を大幅に減らしつつ、住宅や車など自分の財産を守ることが出来るので、多額の負債を抱えているが、他方で残したい財産がある人にとってはメリットの大きい制度です。

[参考記事]

個人再生で住宅を残したい!住宅ローン特則とは?

もっとも、個人再生の認可を受けるには、住宅ローンを除く負債が5,000万円以下であること、債務者に反復的かつ継続的な収入があること等といった法定の条件を満たすことが必要です。

個人再生手続の申立ては、債務者の住所地を管轄する地方裁判所(例えば、さいたま市にお住まい方の管轄裁判所はさいたま地裁)に対して行ない、裁判所から再生計画の認可決定を受けたときは、再生計画にのっとって、減額後の負債を各債権者へ分割返済し、これを完済出来れば、減額された分の負債の支払義務が確定的に無くなります。

逆に、途中で返済を不履行して、再生計画が取り消された場合は、負債は減額される前の状態に戻ることになります。

個人再生手続には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2種類があり、それぞれ、手続の流れや手間(必要な期間)が異なります。
両手続の関係としては、小規模個人再生が個人再生における原則的な手続、給与所得者等再生はその特則的な手続という位置づけになり、給与所得者等再生を利用するためには、小規模個人再生の利用条件を全てクリアした上で、さらにプラスアルファの条件のクリアが必要となります。

実際、個人再生をする人の全体の9割は小規模個人再生を利用しており、給与所得者等再生は、小規模個人再生が出来ないとき(債権者の反対によって再生計画が認可されない恐れが高いとき)の次善の策として利用されます。

[参考記事]

借金を返せない方への救済策「個人再生」の基礎知識

2.個人再生の流れと期間

先述の通り、個人再生は、小規模個人再生と給与所得者等再生とで、手続の流れも手続にかかる期間も異なります。

それぞれの流れと期間について詳しく解説します(裁判所ごとに詳細は異なりますので、今一度依頼する弁護士に確認することをお勧めします)。

(1) 小規模個人再生の場合

受任通知送付

弁護士は、債務者から個人再生の依頼を受けると、直ぐに債権者に対して受任通知を送付します。

受任通知の送付後は、債権者から債務者への直接の取立(電話や手紙、訪問による支払請求)が止まります。
ただし、訴訟や強制執行といった、裁判所を通じた手続は止められません。

個人再生の申立(約1ヶ月後)

弁護士に個人再生の手続を依頼しても、すぐに裁判所に申し立てが出来る訳ではありません。

申立前は、債権者との協議や申立ての書類、弁済額の算定など様々な準備があるので、実際に申立が出来るのは、最短でも、受任通知送付から約1ヶ月後となります。

個人再生委員の選出(当日)

個人再生委員が選ばれるかどうかは、実は、裁判所によって、判断・運用が異なります。

例えば、東京地裁の場合は、全ての事件で個人再生委員が選任されていますが、これに対し、さいたま地裁では、弁護士が代理人となって申し立てたケースで個人再生委員が選任されることは、再生委員を付けるべき特別な事情がない限り、ほとんどありません。

他方、弁護士を付けずに本人が申し立てた場合や、司法書士に依頼して申し立てた場合には、個人再生委員が選任されることになります。

個人再生手続開始決定(申立から約1ヶ月後)

裁判所で申立の要件が確認出来たら、個人再生手続開始決定となります。
ケースによっては、申立後すぐに開始決定が出ることもありますが、多くの場合は、申立てから概ね1ヶ月後程度とみておきましょう。

開始決定と同時期くらいに、再生計画通りに返済が出来るか確認をするための「履行テスト」も開始されます。これは、申立の時点で申立人が想定している返済月額と同程度の金額を、申立人本人から現実に振込みをさせることで、申立人の履行能力をチェックするための手続です。

振込先の口座は、個人再生委員が選任されるケースでは、再生委員の口座となりますが、再生委員が選任されないケースでは、裁判所の指定する口座に振り込むパターンと、代理人弁護士の口座へ振り込み、その送金履歴を裁判所に提出するパターンが考えられます。

履行テストの期間も、全件で個人再生委員が選任される東京地裁では6か月(6回)が基本ですが、その他の裁判所で、個人再生委員の選任もないケースでは、もう少し短い期間(3か月程度)で行なうことが多いようです。

債権の届出(申立から約2ヶ月後)

各債権者が、申立人の提出した債権者一覧表に記された名簿や金額を確認して、内容に間違いがないか確認をします。

債権者一覧表の内容に異議がある場合は、債権者は、債権届出書を裁判所に提出します。
債権届出書が出されると、今度は、申立人の側で、その内容に異議があるかどうかを届け出て……という形で、各債権者の債権額を手続内で確定していきます。

再生計画案提出(申立から約3~4ヶ月後)

各債権者の債権額が確定したら、その金額を前提に、申立人側で、個人再生の再生計画案を作成・提出します。

再生計画認可決定(申立から約5ヶ月後)

小規模個人再生では、再生計画案に関して、債権者の決議が要件となっていて、債権者の頭数の半数以上、もしくは債権総額の2分の1以上に相当する債権者から積極的な不同意があると、再生計画は認可されません。

債権者の同意が得られ、この間の履行テストの状況も順調であれば、再生計画は認可されるでしょう。

なお、給与所得者等再生では、手続上、債権者の決議は再生計画認可の要件とはなっていません。このため、小規模個人再生では債権者に不同意とされる恐れが高いケースでは、給与所得者等再生の利用を検討することになります。

再生計画開始(申立から約6ヶ月後)

再生計画認可決定の確定後、再生計画に基づく返済が開始されます。
その後は、3年から5年をかけて、再生計画通りに債務を弁済していくことになります。

(2) 給与所得者再生の場合

給与所得者等再生の基本的な流れ、期間は小規模個人再生と同じですが、前述の通り、給与所得者等再生は債権者の同意を必要としないので、認可決定の際の同意に関する手続が省かれます

債権者は、再生計画に対する意見を言うことは出来ますが、その意見には、再生計画の認可・不認可を決める効力はありません。

3. 個人再生手続後の弁済の注意点

ここまで見てきた通り、個人再生手続きは非常に複雑で準備する書類も多く、その全てを完璧にしないと再生計画は認可されません。

万が一途中で失敗をしたら、それまでの努力は無駄になりますし、借金が減るどころか、利息が増える一方です。

また、仮に個人再生認可まで至ったとしても、再生計画に無理があれば、途中で挫折してしまいます。その場合も全て水の泡になってしまうでしょう。

そうなったら一大事ですので、手続をスムーズに進めるため、そして再生計画を最後まで完遂するためにも、専門家と相談した上で申立てを行うことをお勧めします。

個人再生後に支払う最低弁済基準額の決まり方

[参考記事]

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4. 個人再生は弁護士にご相談下さい

個人再生の申立てから認可までの期間は、およそ6ヶ月です。裁判所によって前後しますが、大体の目安として、半年位を想定しておきましょう。

個人再生は、自力でも手続ができますが、その手続は複雑で、専門家の力を借りないと失敗に終わる可能性が高く、また、個人再生委員が選任されれば、報酬も発生します。
そうなると、費用面でも、かえって高くつく恐れもあります。

泉総合法律事務所大宮支店は、個人再生の経験が豊富にございますので、何かお困りのことがあればお気軽にご相談下さい。個人再生のご相談は何度でも無料です。

また、弁護士費用については、分割払いにも対応していますので、費用のことも含めて何なりとご相談下さい。

借金問題は一刻も早く手続をすれば、それだけ選択の幅が広がります。どうかお一人で悩まずに、専門家と一緒に解決をしていきましょう。

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